「いいのか? ひとつしかないが」
「私は大丈夫ですよ、この辺で寝ますから」
「はいそうですかって寝られる訳がないだろう? いいから、こっちに来い、何もしないから」
「でも」
押し問答の末、筵の隅の方に花菜も潜り込んだ。
筵を上げた途端、フワリと甘い香りがした。
感じるのは麝香。
月君の香だ。
ここに現れた時、彼に強く抱きしめられた事を思い返す。
――心配してくれたのですね。
でも……。
『お前は夜盗の妻になる気はあるか?』
カイ……あれはどういう意味?
そう思ったところで花菜の意識は飛んだ。
――暖かい。
次に目が覚めた時、花菜は不思議な感覚を覚えた。
藁の中にいたはずなのに、綿入りの衣にすっぽりと体を包まれている。
夢か幻か、覗き込む誰かの顔がぼんやりと見えた。
その人が髪を撫でる。
優しい手の動きに安心して、また深い眠りに入っていった。
「私は大丈夫ですよ、この辺で寝ますから」
「はいそうですかって寝られる訳がないだろう? いいから、こっちに来い、何もしないから」
「でも」
押し問答の末、筵の隅の方に花菜も潜り込んだ。
筵を上げた途端、フワリと甘い香りがした。
感じるのは麝香。
月君の香だ。
ここに現れた時、彼に強く抱きしめられた事を思い返す。
――心配してくれたのですね。
でも……。
『お前は夜盗の妻になる気はあるか?』
カイ……あれはどういう意味?
そう思ったところで花菜の意識は飛んだ。
――暖かい。
次に目が覚めた時、花菜は不思議な感覚を覚えた。
藁の中にいたはずなのに、綿入りの衣にすっぽりと体を包まれている。
夢か幻か、覗き込む誰かの顔がぼんやりと見えた。
その人が髪を撫でる。
優しい手の動きに安心して、また深い眠りに入っていった。



