貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)

まず嗣爺がパクリと齧りついた。

「おお、姫さま、これはまた格別に美味いですな、塩辛さがちょうどいい」

おにぎりをしげしげと眺めながら嗣爺がしきりに感心する。

この世界で握り飯と言えば、ご飯を握っただけで味もそっけもない屯食(とんじき)というものだった。

でも花菜が作ったおにぎりはちょっと違う。

美味しそうにおにぎりを頬張る嗣爺にホッとして、いつの時代も味覚というものはあまり変わらないのねと、花菜はにっこり微笑んだ。

「歩いて汗ばんだりすると塩分がほしくなるのよね。それに、豆も入っている雑穀米だから、多少なりともタンパク質が摂れるし、ご飯だけより栄養価も高いのよ」

「たんぱくしつ? 姫さまのおっしゃっていることは難しくてよくわかりませんが、とても美味いことは、よーくわかりますよ」