貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)

その日は、夕食を囲むと早々に休んだ。

花菜用の局(つぼね)は、前の家とは比べ物にならないほど広く、調度品が並んでいた。
完全なるプライベートな部屋だ。

壁代や障子に囲まれている局はとても暖かい。
帳台は火桶で暖められていて、まだ新しい草の香りがする畳がある。

そこにはなんと、布団の形をした茵までがあった。
ふわふわの布団である。

――これも全て、お優しい女御さまのお計らいのお陰なのね。

あちこちが朽ち果てた前の邸での暮らしは、それはそれで楽しかったけれど、隙間だらけの部屋で少ない炭に気を使いながら暮らす冬の寒さは堪えた。

あの時ばかりは、どうしてうちは貧乏なのだろうと悲しくなったものだ。

これ以上の贅沢はできなくていい。雨風を凌ぎ、暑さ寒さが耐えられて、食べ物に困らない暮らしさえできればもうそれで――。

そんなささやかな幸せを思ううち、いつしか花菜は、眠りについていた。