貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)

「夕ご飯手伝うわね」

「姫さま、それはとてもうれしいことですけれど、今日くらいはゆっくりなさってください。人も増えましたから心配はいりませんよ」

そういえば、花菜が見たこともない人たちが下屋を出入りしているのが見えた。

本来、上下関係が厳しいこの世界は、末端の使用人と貴族が、直接会話を交わすことはない。
なので、下働きの彼らが挨拶に来ることもないのだ。

「まるで、貴族の家みたい」

「あはは、姫さまったら既に貴族じゃないですか」

「それはそうだけど。この立派な邸にはもう、畑なんてないのね」

「それがね、あるのですよ。パッと見にはわからないですが、あの低木の向こう側に」

嗣爺がニヤリと笑う。

「どんなに豊かになっても、いつ何が起きるかわかりませんでな。姫さまがよく言っていらした危機管理ってゆうやつですわ」

「嗣爺、やるじゃない」

花菜と小鞠、そして嗣爺の三人はクスクスと笑い合う。