貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)

「ああ、花菜。ようこそいらっしゃい」

すると女御は挨拶も早々に、まずは労ってくれた。

「色々大変な中、よくがんばったわね」

「ありがとうございます」

「ずっと帰っていなかったのでしょう? 帰ってらっしゃいな。ここでのお勤めは、戻ってからね」

――え?
ハッとして顔を上げると、女御はにっこりと微笑みながら頷く。

「ゆっくりしていらっしゃい」

「女御さま……本当によろしいのでございますか?」

「ええ、もちろんよ。その代わり、戻ってきたらまた美味しいものを食べさせてね」

「はい!」

「それから、今、待って頂いている方がいるの。ちょっと一緒に来てくれる?」

「はい?」

立ち上がった女御に付いていくと、
「お待たせしました」
女御が、御簾の向こう側に座る客に声をかけた。

「いいえ」と答えた声には、聞き覚えがある。

――この声、でもまさか?

「さあ、花菜。お父さまですよ」
「えっ?!」

慌てて、花菜は御簾の端から出た。
「お父さま!」