今回の事件をきっかけとして、宮中の女官たちが暮らす内裏には平和が訪れた。
職を追われた二人の女官は嫌がらせをするだけでなく、それぞれの部署であることないことを吹聴し、皆の心に悪意を煽っていたのである。
彼女たちがいなくなってみれば、あえて波風を立てるような女官はいない。
ふと我に返ったように、皆穏やか心を取り戻していった。
そして花菜は――。
「いよいよね」
「うん」
晴れて弘徽殿の女御の女房になることになった。
緑子は緑子で仕事ぶりが認められて、いきなり二つ上に昇格する快挙を成し遂げ、
ふたり揃って希望の光溢れる新しい年の幕開けになったのである。
「遊びに来るから」
「私はいつでもここにいるからね。お互い頑張りましょう」
別れを悲しむほど、遠くにいくわけではない。
ほんの数分歩けば会える。
「荷物を持つのを手伝うわね。弘徽殿にも行ってみたいし」
「ありがとう」
衣装などが入っている長持は、既に運んでもらってある。
持っていく物は荷物という程の物はないが、それでも入りきれなかった何着かの着物と小箱があった。
「花菜に変わって弘徽殿へのお使いは私になるそうよ、よかったわ。毎日会えるわね」
「そうなの? 良かった!」
職を追われた二人の女官は嫌がらせをするだけでなく、それぞれの部署であることないことを吹聴し、皆の心に悪意を煽っていたのである。
彼女たちがいなくなってみれば、あえて波風を立てるような女官はいない。
ふと我に返ったように、皆穏やか心を取り戻していった。
そして花菜は――。
「いよいよね」
「うん」
晴れて弘徽殿の女御の女房になることになった。
緑子は緑子で仕事ぶりが認められて、いきなり二つ上に昇格する快挙を成し遂げ、
ふたり揃って希望の光溢れる新しい年の幕開けになったのである。
「遊びに来るから」
「私はいつでもここにいるからね。お互い頑張りましょう」
別れを悲しむほど、遠くにいくわけではない。
ほんの数分歩けば会える。
「荷物を持つのを手伝うわね。弘徽殿にも行ってみたいし」
「ありがとう」
衣装などが入っている長持は、既に運んでもらってある。
持っていく物は荷物という程の物はないが、それでも入りきれなかった何着かの着物と小箱があった。
「花菜に変わって弘徽殿へのお使いは私になるそうよ、よかったわ。毎日会えるわね」
「そうなの? 良かった!」



