貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)

それから数日が経ったある日のこと。
膳司と縫司からそれぞれひとりずつ、女官が宮中からいなくなったという噂が飛び交った。

「クビになったらしいわ」

「え?! どうして?」

「ほら、あの花菜を襲った男いたでしょう?」

「うん」

「あの男たちに命じて、気に入らない女官を怖い目に合わせたり、嫌がらせをしたり、そういう悪事が問われたそうよ」

「なんですって。じゃあ、私が襲われたのも?」

「そういうことなんだと思うわ。花菜を目の敵にしていたもの、あのふたり」

緑子が言っていたことは当たっていたのである。
尚縫から呼ばれた花菜は、今回の事件のその後について説明を受けた。

『花菜さん、あなたを襲わせたのは、あのふたりの女官だったそうよ。
あなただけじゃないの、あの者たちは弱い立場の女官たちを私たちの目の届かないところで辛い目に合わせていたの。でももう大丈夫安心してね。もちろん二人の男は身分を剥奪されたし、ふたりの女官も退官させられたわ。今後もしこのようなことがあった場合は、実家を含め厳罰に処するという下知が下ったの。
いずれ正式に通達があると思うけれど、あなたには先に伝えておくわね』