貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)

「やっぱり二人はどうみても恋人同士にしかみえないわ。ほんとお似合いよ」

「冗談いわないで、もう。月君に叱られるわよ」

ふたりでキャッキャと笑いながら濡れ縁を歩き、花菜はふと思い出した。

そういえばあの弓矢は?

あれは外から飛んで来た。
方向からいって月君が弓を引いたとは考えらえない。

警備の誰かが助けようとしてくれたのだろうか?
一体誰が。

――カイ?

振り返ると、夕べいた釣殿が見えた。

いまは明るいその場所に、いるはずのない黒装束のカイの姿見えたような気がして、花菜は立ち止まった。

「どうかした?」

「緑子、昨日私の居場所を教えてくれた人って? 知っている人?」

「御簾で隠れていたし、私も扇で顔を隠していたからよくわからなかったけど、背の高いとても素敵な感じの人だったわよ。あ、そういえば――」