貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)

寝顔をそっと覗いてみた。

長い睫毛にするりとした肌。
鼻はすーっと伸びて高く顎のラインには無駄がない。そして凛々しい口元。

――本当に綺麗な人。

どうせ蹴鞠くらいしかしない女のような人だと思っていたけれど、そんなことはなかった。

――案外頼もしい人だったのね。
ついつい感心しながら、ジーッと見ていると、瞼がパチリと開いた。

「あっ」

慌てて扇で顔を隠して、少し離れた。

「お、おはようございます」
起き上がった月君は「もう大丈夫か?」と言う。

「は、はい。すみませんでした」

泣いている姿を見られたとなると、気恥ずかしいものである。
しかも取り乱すほどの号泣だ。

「本当に、なんとお礼を言ってよいか……」

「いや、そんなことは別にいい。それより本当にもう大丈夫なのか?」

「え? はい。もう元気もりもりですっ!」
ほらこの通りと、花菜は拳を作って腕を上げた。

アハハと月君が笑う。

「それならいい」