貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)

「何をやっているんだ! お前は! こんなに暗いところにひとりでいたら、襲われても仕方がないぞ!」

ビックリしたと同時に、プチンと何かが外れた。


そして、花菜は声を上げて泣いたのである。

「うわ――ーん」

どうしてこんな酷い目に会わなきゃいけないの?
私ばっかりどうして。

どうして助けてくれたのが頭中将じゃなくてカイでもなくて、よりによって月君なの?

もう、何もかもが悲しかった。

「ちょ、お、おい、あ、すまぬ」

頭を抱える碧の月君を尻目に、うわーん、という花菜の泣き声は夜空に響いた。