緑子はとても頼もしかった。

とはいえ一番困ったのは、料理である。

御厨子所に行くと、膳司の女官に必要な食材を隠されるということも起きるようになった。

隠されるだけならまだいいが、毒でも入れられたら大変なことになる。

『当分の間、花菜の料理は我慢するわね』
優しい女御の気遣いもあり、当分は縫司の仕事だけに専念することになったが、料理が出来なくなったことは残念だ。

こんなことばかりが続くと、根が明るい花菜もさすがに辛い。

――はぁ。

人知れずため息が零れる。