***

「気にしちゃだめよ。あの人たち、仕事が出来ないものだから焦っているんだわ」

「うん。ありがとう」

集団の中にいれば、自分と気が合わない人がいるのは仕方がないことだ。
嫌だなと思う人とは接点を持たないように気を付ける。それだけでも随分気が楽になるだろうに。

何故か花菜に嫌がらせをする彼女たちはそうしなかった。
わざわざ花菜に近づいてくる。

「花菜、荷物を隠しておいたほうがいいわ。あいつらに嫌がらせされるかもしれないし」

なにしろ数少ない貴重な衣装だ。一枚無くなっただけでもとても困る。

「そうね。でも、どこに……」

「弘徽殿の女御さまのところにお願いしたらどう? 仲の良い女房さんたちに頼んでみたらいいんじゃない?」