貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)

髪が上で丸められた分短くなって、腰のあたりに落ち着く。

「ほらね、これなら貴族の姫に見えないでしょう?」

その身なりや暮らしぶりは庶民のような花菜ではあるが、それでも貴族の姫を象徴する箇所がある。

それは艶々と美しい引きずるほど長い髪だ。

その髪を帽子に隠したことで、花菜は一気に庶民の女のようになった。

「すごい、すごい姫さま」

 ――よし準備オッケー。

花菜は明日この帽子を被って、キノコ狩りに行く予定でいた。

食材も自力で確保しなければならない。
感傷に浸る余裕はないのだ。