女御はクスッと笑う。

「お正月の行事がひととおり終わったら、彼女を私のところに引き立てるつもりなんだから。仲良くしてちょうだいね」

「えっ? あいつを?」

「そうよ。膳司のほうでも縫司でもみんな彼女をほしがっているから争奪戦なのよ」

信じられないという風に月君は目を見張るが、それでも皿を空にする月君が可笑しくて女御はコロコロと笑った。

「また作ってもらえるよう、お願いしておくわ」

とまあそんなわけで月君とはバトルを繰り広げていたが、それは些細な事。

花菜の宮中での生活は概ね順調だった。

時々ホームシックに襲われて寂しさを募らせることはあるが、緑子や朱鳥という友達もできたし、辛いことは特になかった。むしろ毎日を楽しく過ごしていたのである。

ところが、正月が明けたあたりから事態は一転した。