花菜がいなくなると、女御は呆れたようにため息をついた。

「まったくあなたって人は。子供じゃないんだからいい加減にしないさい」

女御はそう言いながら、おかわりのチーズケーキを月君に渡す。

「可愛いじゃないの。家族想いの健気な子よ? 裁縫も上手だしお料理まで得意で。それに器量もいいわ」

月君はムッとしたまま返事もしないが、それでもチーズケーキだけは黙々と食べている。

よほど気に入ったのだろう、なにしろ残っていたチーズケーキのほとんどは月君のお腹の中に消えているのだから。