花菜と小鞠は、そのうらぶれた邸の壺庭を囲む濡れ縁に座っていた。
朝日を浴びながら、ふたりはせっせと手仕事に励んでいる。
「やっぱりいつの世も姫さまは姫さまなのですね」
丸い頬に幼さを残しながら、小鞠はうれしそうに瞳を輝かせた。
――姫さま、かぁ……。
着ている衣は、一応小袿の体を成してはいるが継ぎ接ぎだらけ。手にしているのは貝合わせや双六のような優雅な遊び道具ではなく、手仕事中の藁。
どこにも貴族の姫らしい様子はない。
働くことが嫌ではないから構わないが、時折自分が姫であることを忘れそうになる。
もはや何をもって姫というのか?
姫と呼ばれていいのか?
そんなことを思う自分に、哀れを通り越して笑うしかない。
「まぁ、そういうことになるのかしら?」
情けなそうにトホホと眉を下げて、花菜は首を傾げた。
朝日を浴びながら、ふたりはせっせと手仕事に励んでいる。
「やっぱりいつの世も姫さまは姫さまなのですね」
丸い頬に幼さを残しながら、小鞠はうれしそうに瞳を輝かせた。
――姫さま、かぁ……。
着ている衣は、一応小袿の体を成してはいるが継ぎ接ぎだらけ。手にしているのは貝合わせや双六のような優雅な遊び道具ではなく、手仕事中の藁。
どこにも貴族の姫らしい様子はない。
働くことが嫌ではないから構わないが、時折自分が姫であることを忘れそうになる。
もはや何をもって姫というのか?
姫と呼ばれていいのか?
そんなことを思う自分に、哀れを通り越して笑うしかない。
「まぁ、そういうことになるのかしら?」
情けなそうにトホホと眉を下げて、花菜は首を傾げた。



