貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)

その中のほんの一パーセントが貴族と呼ばれる特権階級の人々だった。

その貴族の中でも上級貴族やお金持ちの受領は、大内裏に近い一条から四条あたりの高級住宅地に住んでいる。

七条大路には市という繁華街があって、左京の市は東市、右京には西市と呼ばれる市があり、庶民も含め買い物はそこですることができた。

とまあ、そんな都で煌びやかな衣をまとって香を焚き、アハハオホホと楽し気に笑って暮らしているのが平安貴族というわけだ。

その京で、花菜が暮らす藤盛の少将の邸は六条の南、油小路にあった。

高級住宅地でもないが東市にも近く、場所はそう悪くもない。元は北の方の実家で、北の方の父は中納言であったから、邸も構えも十分に立派だったという。
今となっては昔のことで、もう面影はあまりないが――。