貧乏姫でもいいですか？（+おまけ）

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花菜が目を覚ましてから、かれこれ一年が経った。

「それで？　姫さまはヘイセイという世でも貴族だったのですね？」

瞳をキラキラと輝かせながら花菜を仰ぎ見るのは、女童の小鞠。
小鞠は姫からヘイセイの話を聞くのが大好きだった。

「貴族とはちょっと違うのよ。でも私はお金持ちのお嬢さまで、何不自由なく暮らしていたわ」

そう言いながらも、彼女は最後に「夢の中ではね」と注意事項を付け足すことを忘れない。

「やっぱり夢なのでございますか？」

「そうねー、やっぱり夢みたい」

本当に夢だったのか。
それも花菜にはわからない。

もし仮に、雷に打たれて気を失っている間に思い出したものが前世の記憶だとすれば、順番がおかしいことになる。

なにしろそのヘイセイの世は、千年ほど後の世界になるのだから――。