大晦日がやって来た。僕は、時間ギリギリで千咲のいる病室へ。千咲は、すごく弱々しく眠っている。千咲の母は、そんな千咲の手を握っていた。通信機で時間を確認し、刀を取り出す。
「……立花 千咲様。お迎えに参りました」
資料に書かれている時間ぴったり。僕はそう呟いて、眠っている(といっても息を引き取った)千咲の胸に刀を突き立てた。刀を抜き、消す。そして、僕は病室を飛び出した。
【千咲side】
僕は目を覚ましたら、黒いローブに身を包んだ格好でその辺に寝ていた。
……ここはどこだろう。
立ち上がって周りを見渡す。僕の隣には、黒いローブを羽織った男性がいた。
「……おはよう。立花 千咲くん。俺はエトワール。皆からエトと呼ばれている」
エトさんはそう言って会釈した。僕も会釈する。
「普段は、現世にある死神寮の管理者をしているんだけど、仕事がない俺が代わりに来た。えっと、ここは――」
エトさんは、ここは霊界であること、霊界には死神がいること、僕に死神の素質があることを教えてくれた。
「君……死神にならない?」



