「優斗、こんな事件知ってる?」
中学3年生に上がり、冬休みのある日。僕と千咲で遊んでいた時(今日は珍しく休みをもらえた)、スマホとやらを操作しながら千咲は呟いた。
「……どんな事件?」
「最近、この辺で連続殺人が起こっているって事件」
「それは知っているよ」
この殺人犯のせい、で僕とハヤトの仕事は増えるばかり。これまでで犠牲者は20人目。今日も5人ほどが犠牲になる予定だ。
……何とかしなければ。とりあえず、まずは千咲の方が先だな。
僕は、千咲を横目で見る。千咲の寿命は、もう1週間も無い。だけど、千咲はそのことを悟らせないようにしているのか、元気そうだ。
「……そう言えば、病気の方は大丈夫だったの?冬休みの最初の方で通院したんでしょ?」
「何かね、大丈夫みたい。いつもと変わりないよ~」
千咲はそう言って微笑む。僕は「そっか」と優しく微笑んだ。だけど、千咲のこの言葉は嘘だ。
この通院で、病気が急に進行していると告げられるはずだから。その事は資料に乗っていないことだけど、そのことは調べて暗記したから覚えてる。



