高校の校舎に入ってみると、嫌な気配が漂っている。僕は目を細めながら深くフードを被り直した。

……もしかしたら、物の怪が関わっているのかも。

そう思いつつ、この気配の出どころを探りながら廊下を歩いていると、女子高生の1人が「ねぇ、悪いうわさ……知ってる?」と他の子に話しかけた。僕は、思わず足を止める。

「この学校、昔……酷いいじめにあって亡くなった男の子がいるんだって。その子の霊がこの学校に縛れているのだとか……夜な夜な校舎に声が響くらしいよ~」

……なるほど。夜の何時頃だろう。それに何年前の話だ?それさえ分かれば、調べられる。

「……その話、詳しく聞かせて」

と僕は近寄る。だけど、女子高生は僕の姿に気づいていないようだ。当たり前だよね。今、僕は死神なのだから。

……どうやって情報を聞き出そう。とりあえず、夜まで待ってみるか。

僕は通信機で次の仕事の時間と今の時間を確認し、廊下の端に座り込んで目を閉じる。次の仕事は17時。後2時間はある。

僕は寝不足からか、深い眠りに落ちた。