眠り姫に100万回のキス☆



不思議と涙は出なかった。

だけど、その場から動けなかった。



すると、急に杏里がドアを開けた。

ほんの少しだけ。




「姫乃~!屋上誰かいるみたいだよ!中庭行こ!」




ドアのすき間から大きな声で。


そう言ってドアを閉める。




「これくらいしなきゃ」




杏里が言った。


ドアの向こう側は一瞬静かになって、




「今聞こえた?」


「一ノ瀬いたんじゃね?」


「おい!やべぇじゃん!」




焦った声が聞こえた。




「あたしも今聞いたから。あたしは姫乃を守りたいし」




杏里が笑顔で言った。




「ありがと…杏里」




杏里の優しさに涙が出た。