去年の夏祭りは行かなかった。

その時杏里は「今年は面倒臭いから」って言って、あたしと一緒に家にいてくれたんだ。



今年は琉也君いるし、行くんだろうけど…

変な気は使わせたくないな。




「夏祭り行くんでしょ?」




杏里の部屋で語りをしてた。




「うん、まぁ…」


「今年は桜庭君いるし、大丈夫だよね?」




心配してくれてるんだ…




「うん。あたしもね、過去を気にしてばっかはダメだって思うし」


「そう思えるようになってよかったじゃん。…ゆっくりでいいからね?」


「ありがと…」




杏里の声は優しかった。