彼女が忘れた時。

それが絶好のチャンス。

お風呂上がりの紅潮した頬を見ると、

ついやってみたくてウズウズする。

自然を装いながら彼女の後ろへ。


「あ、これ見て…」


「んー?」


肩を叩き振り向かせる。

すると俺の指は彼女の柔らかいほっぺに着陸する。


「かかった〜♪」


「…あーまた引っかかったー!」


そう言い肩を落とす。

がすぐにこちらを向き、両手で俺の顔を挟む。

次の瞬間俺の唇には、頬よりも柔らかいものが添えられた。


「仕返し。」


「…、ふ、ははっ。

残念だなほっぺちゃん。

俺にとってはそれはご褒美だ。」


「っ…、」


彼女の紅潮していた頬が、

別の意味でまた頬を染めた。

少し照れた表情は、下を向き隠された。

今度は俺が彼女の顔を挟む。


「なぁ、ほっぺちゃん?

もっと、していい?」


「か、勝手にすれば。」


ついにりんごになった子を、

俺は優しくいただいた。