先生はやはり病気だった。
以前から具合が悪かったそうで、手術するため入院だと。
その後は店をどうしようかと考えている最中だとも。
エレナ美容室のスタッフはバイトを含めて3人。
引き継ぐとしたら店長の三島さん。
話がどうなるかはわからないが、大好きなエレナ先生が店にいないのは想像できない。
「 愛月ちゃん、あんた泣きそうよ?私まだ生きてるんだから泣かないでよ 」
「 何て事言うんですか!泣いてませんよ、先生には私がいつか結婚して子供産んで、その子供が成人するまでは絶対元気でいてもらうんですから!」
「 あははは、私その頃は何歳よ?その前に彼氏連れてきなさい、いるなら 」
「 もう!先生、それ言わないで 」
「 鈴木君、あんたがこの子もらってやってよ、良い子だから 」
「 先生~ 」
先生だからってそれ言っちゃ困るよ。
私以上に困るのは鈴木君なんだし……
ほら、この顔困ってるじゃん。
ん?
「 愛月ちゃん、あんたにいい話があるんだけど、見てみて 」
え? え!?
「 先生、まさかこれは… 」
「 お見合いどうかと思って。あんた彼氏いないし寂しいでしょ 」
「 お見合い!?」
ちょっと、鈴木君までハモっちゃったじゃないのよ~
なんでまた急にお見合いなの?
私今、突然の片想い真っ最中で戸惑ってるのに困るよ……
「 先輩、お見合い決定ですか?」
「 勝手に決定するな!」
私は…あんたがいいよ、お見合い相手なら。
鈴木 壱流っていう君がいいよ。



