颯人との曖昧な関係より、一人を思って苦しくなったり腹が立ったり、やたら仲良くてイチャイチャしてたり、静かに甘えていたり……
そんな並みある恋愛を彼と出来たらいい。
それには一目惚れを告げないと何も始まらないのだ。
ただ、それを言って玉砕したまま上司と部下、先輩後輩では割りきれずモヤモヤしてしまう。
そんな関係は嫌だ。
じゃあどうする?
どうしよう……
「 ……輩… 先輩、どうしたんですか?」
は…… 考え事してた。
ダメダメ、しっかりしなきゃ。
「 行きましょ 」
美容室への挨拶回りの予定を済ませて、最後はエレナ美容室へ。
エレナ先生はお喋り好きの先生だからいつも一番最後に行く。
そしてまた楽しみもある。
「 こんにちは、お疲れ様です 」
「 あらあら愛月ちゃん、久しぶりじゃないの、ちょうどお客さん終わってねぇお茶でもしようかと思ってたの、カステラ頂いたし一緒に食べようね 」
「 はい、ありがとうございます 」
楽しみは先生とのお茶の時間。
しかもおやつが付く。
私の外回りの日の最後はエレナ美容室と決めている理由だ。
「 先生、新人さん入ったので紹介したくて一緒に来たんですよ。鈴木君です 」
「 あらそうなの、まー、可愛いねあんた 」
「 ありがとうございます、これからよろしくお願いします 」
こういう雰囲気は好き、温かいから。
ただこの日は少し状況が変わった。
それは先生からの話で2つ。
「 愛月ちゃん、私ねぇ来週入院するのよ 」
「 え… 入院!?なんでですか、どこはか悪いんですか?」
先生、まさか病気……?



