爬虫類のトカゲ写メを彼が見せてくれるが、どれもこれもトカゲ、トカゲ。
ポーズがあるのか微動だにしていないであろうトカゲ写メをひたすら見つめた。
うん、トカゲ三昧でした。
なんて言えば? 可愛いとか?
可愛いのはミチルじゃなくて壱流だけど。
「 どうすか、可愛いですよね 」
「 可愛い、うん。二人とも可愛いよ 」
「 え?」
「 え?」
「 僕もですか、可愛い?からかってます?」
「 からかうわけないでしょ、先輩として言ったまでよ 」
あんたは可愛いっての!
でも言えないんだってば。
彼の車で移動にも緊張してる暇もなく、トカゲのミチルが頭から離れない。
いっそミチルを私になつかせようか?
「 こんにちは、お世話になっております 」
「 大光さんこんにちは。あの手袋… 」
「 はい、承ってますよ、持ってきましたんでサイズ見てください 」
注文の会った手袋渡し、すべて購入となった。
お礼を言われた後で彼の紹介。
手の空いているスタイリスト、アシスタントが顔をだしては挨拶。
にこやかな彼女たちに囲まれる彼を見ていて妬ける。
美人に可愛い人、これから彼が一人で店回りをする。
その中で恋愛が生まれることもある。
そう思うと彼が私を選ばない限り恋愛は出来ない。
私って… 寂しい女じゃん。



