この可愛いヤツがオオカミ君だったりするんですが。


なんだか疲れるわ……

牛丼山盛って、食べ盛りなの?

胃が若いの?

私への当て付け? それはないか。



昼食は牛丼屋。

安く早くうまい、私的にはイタリアンや和食、お洒落にカフェが良かった。

目の前で無心に食べる彼を見ていてなぜか胸やけ。



「 よく食べるね 」

「 緊張しっぱなしで腹減ります 」



そうなの? ま、いいけど。



「 鈴木先輩は美容室ロミの上屋さんと付き合わないんですか?すごくいい感じでしたけど 」



あんたに言われたら悲しいんだけど。



「 そういう関係じゃないの、きっとこの先も変わらないかもね 」

「 変わらない? じゃほんとに好きな人が出来た時はどうするんです?好きな人が上屋さんとの関係知ったら嫌だと思うし、どうするんです?」



するどいね、言われたらそうなんだけど。

颯人って、なんて言うか心が繋がってるような、切れそうでギリギリ切れない糸みたいな感じよね。

でも、私は現にあんたに一目惚れしたんだけど、私のこの気持ちが本物かはわからないな。

ただ…

怖いかも。

颯人と完全に友達になったとして、私は……




「 どうしようか… どうしたらいいと思う?」

「 俺は… 俺なら、先輩を独り占めしたいから許さないです 」



あら……ま。



「 だって、好きな人には自分だけ見てろって言いたいしそうでないと嫌です 」



可愛い。

あんたに思われる女は幸せだね。

いいな…… 素直で。


私も一応、あんたに…鈴木君に一目惚れした女なんだけど見てろなんて言われる女じゃないね。


あ… 現実ってひどい。



「 いい奴ね、鈴木君は 」



よしよし、ってね。



思わず、お姉さんのように彼の頭を撫でてしまった。

ごく普通に、流れで、よしよしと。


それに対し彼は、驚き照れたようでいて困ったような…

それが可愛く見えるしかなかった。




「 先輩… 俺、今めっちゃ恥ずかしいです 」

「 あ、ごめん!牛丼屋だったね、あはは 」



失敗。

彼に小さな恥をかかせてしまった。

でも、ちょっと幸せ。