感動よりも生物の観察といった心理状態の母

その隣で同様に観察を続ける父

我が子の成長ぶりに感心するわけでもなく、淡々と卒業式の終了までボケーッとし続け、終わりを迎えてすっかり小さくなったランドセルを背負った肉肉しい子供を連れて帰ろうとしたら…

「三上さーん」

声を掛けて来たのはPTA会長

この会長、子供が4人居て10数年にわたり全員この小学校に通っているという猛者のオバサマ

それがPTAを全力回避したアタイに何かご用でしょうか?

「は、はいー」
「聞いたわよー、なんでも遠い学校に行くって」

ええ、地元のA中学からどうしても逃したかったので

なんて言うわけにも行かず

「たまたまそこにしか受からなかったものでークォホホ」

と半笑いで事実を告げたのですが

「大丈夫なのー? 」

とか言いやがる

はいはい、どうせねPTA活動から逃げ回って中学受験に専念したムカつく母親でしょーよ、アータに取ったら

そんなに専念してませんよ、そもそも仕事ばっかりで身動き取れなかったんで

って言ったところでご理解いただけないでしょうね、家の実家がどういう状況なのかとかフルタイムでゴッリゴリに働かざるを得ないとか

もうしょうがねーな、ここは思いっきり空気読めねーフリしたるか

「大丈夫ですよぉー、ほらぁーもうすぐ反抗期だしぃー、お互い顔を合わせない方がいいしぃー、ドュホホホ…」
「…」

はい、いっちょ上がり

こうして全てをぶっちぎったまま小学校を卒業

後の事なんか知るもんか

地元との関係は町内会で構築してるから、学校関連よりも濃いからいいもんね

絶句するPTA会長を尻目にさっさと小学校を出て、翌月早々に控えている中学入学に向けて支度すっぞ