こんな時、しつこく聞いてこないのが咲良らしい。
まあ、聞かれても答えられないけれど。

はあー。
溜息が出た。
昨日から完全に振り回されてしまっている。

「クソッ」

「汚い言葉」
眉間にしわを寄せた咲良。

「ゴメン」
つい出てしまった。

無知で、無鉄砲で、猪突猛進な、俺の許婚。
宮家の決まり事も分からないくせにわがままを通そうとするから、みんな迷惑している。
その上本人はそのことに気づきもしないなんて、はた迷惑以外なんでもない。
先が思いやられるな。