虹色シンデレラ

「ちょっと、待ってください」
廊下を曲がったところでやっと声を掛けた。

何?と言いたそうに振り返る哲翔さん。

「足速すぎです」
文句を言ってみた。

「ゆっくり見て回るようなものもないだろう?」
「そうですか?お庭もお家も素敵ですよ」

きっともう見ることもないんだからじっくり見ておきたい。
私にとっては勉強にもなるしね。

「不動産屋じゃあるまいし、本当に家を見て回りたいの?」
「はい」

不思議そうな哲翔さんに、大学でデザインを専攻しているんだと告げた。

「へー、そうなんだ」