虹色シンデレラ

「じゃあ、この古い家にも興味があるのかな?」
笑顔のお父様。

「はい。年代物なのに古くさくなくて、インテリアも統一性があって、凄く素敵だなあと思っています」
できればもっと見てみたい。

「後でゆっくり見て回ると良いよ。哲翔に案内させるから」
「はい」

でも待って、私は肝心な人に会っていない。
許婚の、哲翔さん。
どこにも彼の姿はない。

「心配しなくても、哲翔はもうすぐ帰ってきますからね」

私の表情を読んで、おばあさまが教えてくれた。
分かりやすく顔に出してしまった自分が恥ずかしく、俯いた。
その時、

「ただいま帰りました。遅くなってすみません」
声がして、私は顔を上げた。