いつも忙しそうに、留守がちな哲翔。


あの日以来、

私と目が合うと、スッとうつむいてしまう。

まるで、叱られた後の子供のような哲翔が、かわいい。

本来なら文句の1つでも言いたいはずなのに、不思議なくらい憤りの気持ちはない。

哲翔が今どれだけ苦しいかを知っている私は、自分の中で愛おしいという気持ちに昇華してしまった。



高宮の家の人たちも皆、私が哲翔に襲われたことを知っている。

だからといって、口に出す人はいない。

暗黙の了解って奴。