朝早く家を出たものの、どこに行く気にもならず一人車を走らせた。

コンビニでコーヒーを買い近くの海岸に向かう。


こんな時、今まではマンションに逃げ込んでいた。

今はそれもできない。

じゃあ、ジムに行こうかとも考えたが、足が向かなかった。

ジムには友人も多いし、

咲良のことを知っている奴も少なくない。

今の俺にとっては、できれば避けたい場所だ。



ブブブ。

太郎からのメール。

『最近ご無沙汰だな。どうしてる?たまには飲みに来い』

簡潔で愛想のない内容。


幼稚園からの幼馴染である太郎は、俺が心許せる数少ない友人。

咲良のこともよくわかっていて、心配してくれている。

本当なら

『ああ、大丈夫だ』

と返事をしてみたい。

でも、無理なんだ。


ふぅー。

溜息しか出ない。