宮家にやって来て約半年。

季節はもうすぐ冬。

私の大好きな裏庭にもお花が咲かなくなった。


「虹子さまー」

廊下から乃梨子さんの声。


「はーい」

大声で返事をしてしまった。


「もー、うるさいよ。耳元で大きな声を出すな」

哲翔が顔をしかめる。


だって仕方ないじゃないじゃない。

こんな立派なおうちの重厚なドア。

大きな声で返事をしなくちゃ聞こえない。


「返事をしたところで乃梨子はドアを開けないんだから、大声なんて出さずに出て行けばいいんだ」

そんなこともわからないのかって顔。


ほんと嫌みね。