息を切らしながら駆け寄ってきたのは、祐介くん。


「何やってるんだ」

私の前に回り込み、がっしりと両肩をつかまれた。


「なんで電話に出ない。勝手に姿を消すんじゃないっ」

すごく怖い顔。

祐介くんってこんな顔するのね。

単純にそんな事を考えていた。


「どれだけ心配したと思っているんだ」

道端で叱られる私。


「祐介くん。わかったから、放して」

さっきから行き交う人の視線が痛い。


「馬鹿野郎」

手を放し、頭一つ上から投げかけられた声。

その顔はなぜか寂しそうだった。