虹色シンデレラ

それでも頑張って歩いていた私、さすがにバテてきた。

ハアハアと息は上がってくるし、足も重くなるばかり。


そんな私を、少し歩いては後ろを振り返り哲翔さんが待ってくれる。


「ごめんなさい」

足を引っ張ているようで申し訳なくて、謝ってしまった。


「いいけど、本気で運動したほうがいいぞ」

呆れてる。


そりゃあ私はスポーツマンタイプではないけれど、そんなに運動音痴だとも思わない。

ごくごく普通の女子。


「どうした?」

不満そうな表情を読まれたみたい。


「哲翔さん、先に行って。自分のペースで歩くから」


「・・・怒ってるのか?」

引き返して、近づいてくる。


「いいから行って」

「なんで怒るんだ」

「怒ってない」

「はあぁ」


確かに、誰が見ても今の私は怒っているように見えるだろう。

分っている。

自分に呆れている。


「なあ虹子、ここには二人しかいないんだ。わざわざ車を飛ばして時間をかけてやって来た。この時間を大切にしよう」

「・・・」

それでも私は黙ったまま。


肩に手をかけた哲翔さんが、近くのベンチに座らせた。


「いいから、言いたいことは言え」

言葉は強いけれど、優しい眼差し。



フー。

一旦息を吐いて、私は哲翔さんを見上げた。