虹色シンデレラ

「馬鹿、そんなに怒るなって。冗談だよ」

笑いながら俺の肩をたたく。


本当につかみ所のない男だ。

昔も、今も、何を考えているのかわからない。


「あんまり虹子を混乱させないでもらえるか?」

「混乱ね」

つまみに手を伸ばしながら、ちょっと考え込んだ祐介。

空になったグラスを差し出し、お変わりの水割りを注文してから、

「それって俺か?」

「はあ?」

「いや、虹子を混乱させているのは俺じゃなくて哲翔の方じゃないのか?」

うっ。

痛いところを突いてくる。


「じゃあ、言い方を変えるよ。虹子に、俺の婚約者に近づかないでほしい」

「断る」

即答だった。