「どうかなさいましたか?」

この状況を見ているはずの菅原さんの落ち着き払った声。


「何でもない」

面倒くさそうに答える哲翔さん。


「虹子様はお疲れのご様子ですので、お部屋でお休みください」

哲翔さんの反応など気にする様子もなく私たちに近づいてきた菅原さんは、壁に突いていた哲翔さんの腕を下ろさせた。


「・・・」

不満そうに、それでも無言の哲翔さん。


「さあ、まいりましょう」

乃梨子さんに促され、私は部屋に戻ることにした。


振り返ると、哲翔さんと菅原さんが難しそうな顔で話し込んでいた。