大学に入学して以来、3年以上過ごしたマンション。

咲良との思い出だけでなく、俺の自由の象徴だった。

できればこのままここにいたかった。

でも、ダメだ。

虹子にも、咲良に対しても、ケジメをつける必要がある。



俺がマンションに来た翌日、咲良はやって来た。

「随分散らかっているわね。それに、ひどい顔。ちゃんと食事してるの?」

「俺は大丈夫だ。それより、早く荷物を片付けろ。急がないと終わらないぞ」

「うん。でも、しばらくはここにいるんでしょ?」

「ああ、俺はしばらくいる。卒論の仕上げもしたいし」

「私も泊まろうかな?」

「えっ」

言葉に詰まってしまった。