「うーん、凄く美味しい」
「そうだろう?」

祐介くんに連れて来られたのは裏通りにある小さなレストラン。
一見『大丈夫かなあ?』と思ってしまうような古いお店。

「ここのシェフは腕がいいんだけれど頑固な人でね。大きなレストランでは馴染めなくてここに自分の店を開いたんだ」

へー。

「知り合いなの?」
「うん。知り合いの知り合いって感じかな」

ふーん。
それにしてもいいお味。
きっと創作料理なんだろうけれど、みんな一手間掛かっていていい意味で想像を裏切ってくれる。

「虹子もワイン飲む?」
すでに1本開けている祐介くん。

「私はいいよ」
アルコールは嫌いじゃないけれど、今日はやめておこう。