哲翔さんがマンションに行ってしまってから、
自分で予想していた以上に寂しさが募っていった。

食欲はないし、何もするにも気力がわかない。

いつの間にか、哲翔さんが側にいることに慣れてしまったみたい。



「虹子様。今日のお迎えは5時でよろしいですか?」

いつものようにテキパキと片付けをしている乃梨子さん。


「ええ」

答えながらまだボーっとしている私。


「大丈夫ですか?」

「うん」


「虹子様?」

大丈夫でないのは乃梨子さんにも伝わってる。

それでも、詮索しないでいてくれる事がありがたい。


「もうすぐお食事ですので、早くご用意ください」

少し呆れ気味に、乃梨子さんは出て行った。


「はいはい」

動きますよ。