「なあ虹子」

「何?」


ミルクティーでホッとして、少し気持ちの落ち着いた私。

哲翔さんと向かい合うソファーに座った。



「マンションを引き払おうと思っているんだ」

「どうして?」

大学にも近くて便利だって言っていたのに。

「俺だけ逃げ場があるのはズルい気がするし。それに、咲良と過ごした部屋だから。けじめをつけようと思う」

「それでいいの?」


哲翔さんが高宮の家を好きでないのは、なんとなく感じている。

マンションを引き払ってしまえば、今よりも窮屈な生活になるんじゃないだろうか。


「無理しなくていいのよ」

私はただ隠し事をされたことが嫌だっただけで、哲翔さんの自由を奪う気はない。

「さっきまでヤキモチ焼いてた奴がよく言うよ」

「そんなこと・・・」