菅原さんの話は衝撃だった。

だって、いきなり高宮家の嫁になんて信じられない。
そもそも、許婚がいたなんて事も聞かされてなかった。

「本当なの？」
思わず父さんに確認した。

「ああ」
とても短い返事。

まあ、父さんが女だったら今頃高宮家の嫁になっていたかもしれないんだから、気持ちは複雑よね。
でも、だからって、何で私？
それに今どき許婚なんて無いでしょう。

「断ってもいいんですよね？」
菅原さんを真っ直ぐに見て聞いた。

「ええ。虹子さんは物ではありませんから」

ほっ。
安心した。

「ただ、先代からの遺言でもありますので、１度はお目に掛かりたいと大奥様からのご伝言です」
「大奥様？」
「はい。虹子さんのお相手、哲翔様のおばあさまにあたられます」

へー。