市役所勤務の父さんと、デパートの食品レジで働く母さん。
共働きの両親はいつも忙しくて、掃除洗濯の家事は週末一気に片づけるスタイル。
当然私や弟も手伝わされる。小学生の頃からそれが当たり前だった。

「虹子、洗濯終わったらお茶の用意をしてくれ」
ベランダに顔を出した父さん。

「お茶、何で?」
「お客さんがみえるんだよ」

お客さん?

「どなた?」
「うん、後で説明するから」
なんだか歯切れが悪い。

まぁいいでしょう。
お茶の用意くらい。
どうせすぐに母さんも帰ってくることだし。