その後、部屋で話そうといわれ哲翔さんの部屋に入った。


相変わらず足下には本が一杯だけど、ソファーの周辺は綺麗に片づけられている。


「座って」


そう言われ、私は腰を下ろした。


「何でダメなの?」

「まだ、初泊まりの前だから」

初泊まり?

何それ?


「俺たちはまだ結婚したわけじゃないけれど、虹子はここに越して来たんだよな」

「ええ」

「まあ、嫁に来たようなものだ」

うーん、そうなのかなあ。


「高宮の嫁が初めて実家に里帰りするのって、1つのイベントなんだよ」

イベント?