「虹子さん。すすまないわね」

「えっ」

「手が止まっているわ。具合でも悪いの」

「いえ・・・」


おばあさまが心配して言ってくださっているのは分かっている。

でも・・・食欲がない。


「どこか悪いの?」

お母様も手を止めて私を見ている。


「違います」

大丈夫ですとアピールしながら、朝食のパンを口に運んだ。


「無理するな。朝食が苦手な女子って少なくないんだ」

フォローしようとしてくれた哲翔さん。


「本当に大丈夫ですから」

私は詰め込んだパンをオレンジジュースで流し込んだ。