「断れないんですか?」
そんな100年も前の話、知らないし。

「亡くなった先代との約束なのよ」
母さんの困った顔。

はぁー。

「勘弁してください。父さんだって好きな人と結婚したじゃないですか。なんで僕だけ見合いなんて」
「じゃあお前には結婚したい人でもいるのか?」
父さんの突っ込み。

「イヤ・・・まだ大学生ですし」

「お爺様の体調を考えると呑気なことを言ってはいられないのよ。英哲さんはお仕事があるし、当主をサポートできる後継者を決めないと」
「だからっておばあさま、どうして結婚なんですかっ」
思わず詰め寄ってしまった。

「哲翔、やめなさい。あなたも高宮の子なら分かるでしょう。どうしようもない事も多いのよ」
「だからって・・・」

今、俺がどれだけ反発しても無駄だと分かっている。
高宮の力はそれだけ大きいんだ。
ここは黙って頷くしかないのかもしれない。
それとも・・・