「・・・」
俺も言葉を失い、みんな黙り込んでしまった。

「なあ哲翔。お前にはまだ話してなかったが、先代が決めた許嫁がいるんだ」

はあ?

「先代って、亡くなった曾じいさまですか?」
「ああ」
無表情な父さん。

嘘だろう。
何で今更。

「元々は先代とあちらのお嬢様が恋仲だったのよ。でも、自由恋愛が認められる時代ではなくてね、泣く泣く諦めたんですって」
淡々と説明をするばあさん。

「だからって何で僕なんですか?」
「本当は英哲さんとあちらのお嬢さんって約束だったのよ。でもあちらにも男の子しかいなくてね」

そんなこと俺は知らない。
俺には関係ない。