虹色シンデレラ

いつも通り教室の前に立ち、ドアに手を

「いいわよね。一発逆転って感じ」
「何で虹子がシンデレラなのよ」
「大学なんて来なくてもいいのに。嫌みよね」
「私達下々にうらやましがられて、優越感に浸りたいんでしょ」

次々に聞こえてくる悪口。
私はそっとドアから離れてしまった。

この時期の大学生はストレスの塊。
就活でボロボロになりながら、卒論でも頭を悩ませている。
優しくなんてなれなくて当然。
私にだって分かっている。
でも・・・酷い。

教室に入れなかった私はフラフラと逃げ出してしまった。」」」
今まで生きてきて、いじめに遭ったことはない。
決してみんなの輪の中心にいるタイプでもないけれど、友達は多かった。
学校に行きたくないなんて思ったこともない。

大学を抜け出した私はフラフラと駅に向かった。

最近はこうして1人で出歩くことも少なくなった。
元々1人でいるより友達と騒いでいる方が好きではあったけれど、時々息が詰まる。

「虹子」

えっ。
急に呼ばれて思わずキョロキョロ。

「あっ、祐介くん」
「こんな所で何してるのっ」

ちょっと強めの口調で言われ、驚いた。